損保ジャパン本社ビル

(旧安田火災海上本社ビル)


所在地 東京都新宿区西新宿
竣工 1976年(昭和51年)
設計 内田祥三 ほか
大成建設





西新宿の超高層ビル街の北端に立つこのビル
新宿の巨人たちの中でもひときわ優美な姿をしています。
42階建てで、高さは200m
1976年に竣工した、日本の超高層ビル第一世代後期の名作です。





特徴は何といってもその独特な形です。
下の方がフワリと広がったスカートのようなデザインは
細身の華奢なビルに安定感を与えています。
遠くから見るとビルの中心をスーッと貫く垂直線と相まって
ため息の出るような美しさです。
あぁ〜こりゃ本格的にヤバイなぁ〜





そのデザインから「パンタロンビル」とも呼ばれるこのビル。
実際には日本の城郭建築の石垣の曲線をイメージしたそうです。
言われてみれば・・・という感じですが
確かにこういう反り返るような曲線は欧米の建築にはほとんど見られません。
日本の古典建築のコンテクストを踏襲したデザインです。
白と茶色の外壁は、それぞれ漆喰の塗り壁と木の柱をイメージしているとも取れます。
途切れることなく曲線を描く柱とその間のリズミカルな窓の並びは
日本の寺院建築の屋根瓦のようにも見えます。
いろいろな読みができますが、とにかくジャパニーズ・モダンなビルなのです。





側面の窓のアップです。
柱に当たる部分は斜めになっていますが、窓自体は垂直についていて
少しずつセットバックしているのがわかります。





設計したのは内田祥三(1885〜1972)をはじめとする建築家グループ
「祥三」で「よしかず」と読むんだそうです。

内田祥三は戦前から活躍していた大建築家で
「内田ゴシック」と呼ばれた独特なネオ・ゴシックの作風を確立した人です。
かの東大の「安田講堂」を設計した人でもあります。
また長年東大教授を務め、研究者・教育者としても知られた人で
1943年には東大総長にまでなりました。
戦後はこんなモダンなビルを設計してたんですね〜
ちなみにこのビルは内田先生が亡くなった後に竣工しています。
内田先生の遺作ということになります。





手前がパンタロンさん
奥が野村さんです。
お二人とも抜群の美人です。





夕方のパンタロンさん
暮れゆく空の中で妖しい美しさを放ちます。

一般の人はビルの内部見学はできませんが
最上部に併設されている「東郷青児美術館」は誰でも入れます。
(と言いつつ、僕はこの美術館はまだ行ったことないんです・・・)





巨匠が遺した美しき「西新宿の女王」
損保ジャパン本社ビルでした。



2008.6.25

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