東京都庁 第一本庁舎
東京に住んでてこいつをご存じない方はおらんでしょう。 その名も著き東京都庁!! 今や東京のシンボルのひとつとなったビルです。 完成は1991年、地上48階建て、高さは243メートルで新宿トップ 2つの塔状の高層部を持った特徴的なデザインのビルです。 何といってもこのデザイン シルエットならだれでも描けそうなほど特徴的。 かのエッフェル塔も、完成当時は「景観破壊」だとかいろいろ叩かれましたが 今ではすっかりパリの象徴となったように この都庁も、今では立派な東京の象徴のひとつです。 で、この誰にでも描けそうなシルエット・・・ よく中世のゴシックの大聖堂にたとえられるデザインです。 地上150メートルより下はつながっていて 上はツインタワー型に分かれています。 完成当時は「何で東京のシンボルがパリのノートルダムなんだ!?」 とかいろいろ文句があったそうですが・・・ それでもここまで象徴的なデザインはもう「お見事」としか言えません。 他にこういうビル、ありませんものね・・・ 全体の形も非常にインパクトありますが それに加えて細やかなデザインにもかなり気が配られています。 この「塔」は単純な直方体ではなく いくつものボリュームを微妙にずらしながら構成されています。 特に最上部では、下層部と45°の角度で交差するような造形になっています。 さらにさらに細かい部分、壁面と窓のデザインも圧倒的です。 写真は下層部のデザインですが、いくつもの窓のパターンが使い分けられています。 中央下にはちゃんと東京都のイチョウのマークまであしらわれています。 「障子」にも「電子基板」にもたとえられるこの窓ですが このテクスチャーを張り付けたような平面的なデザイン ルネサンス建築の壁面のデザインにも似ています。(伏線) 圧倒的なディテールです。 というように、このビルのデザインは マクロな全体の造形からミクロの窓のデザインに至るまで 異様なまでの執着ともいえるほどのデザイン密度で構成されていて 渾然一体としたひとつの「宇宙」を形成しています。 新宿の超高層ビル群の中にあって、こいつは明らかに 異様な雰囲気を発散しています。存在感があります。 他の追随を許さない気迫がありますね。 このとてつもないデザイン密度のビルを設計したのが 「日本建築界の帝王」丹下健三(1913〜2005)です。 「広島平和記念資料館」(1955)でいち早く頭角をあらわし 「国立代々木競技場」(1964)によって「世界のタンゲ」となった 現代日本最大の建築家と言われた人です。 この作品はそのキャリアの中でも晩年の作品 何と丹下先生78歳の時に完成しました。 78歳でこの創造力ですよ!! 信じられません・・・ しかもその後「フジテレビ」とか、さらにぶっ飛んだ作品も手掛けてますからね・・・ 晩年まで実に多くの作品を手がけ、日本建築界にも絶大な影響を与えました。 でも、この都庁舎はそれまでの丹下作品とは 明らかに違うものを持っている建築でした。 「シンプル」が特徴の初期のモダニズム作品に対して この都庁のデザインの凝りようは、異様ともいえるものがあります。 この作風の変化は何なのか・・・ そこには、「帝王」丹下健三の深い哲学が隠されていました。 次のページでは丹下健三の哲学に迫ります(小難しい話です) 2008.12.26
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