不二ラテックスビル

所在地 東京都千代田区神田錦町
竣工 1982年(昭和57年)
設計 不詳



<非常に重要なお知らせ>

このページで紹介している建築は
その・・・非常にキワドイものですので
18歳未満の方女性の方不快に感じる方
やめておいた方が・・・
(実際に存在している建築だからそれほどでもないけど・・・)



大丈夫だという方は以下どうぞ・・・
かといってあなたが期待しているようなもの
ここには載ってないと思いますがね。
これは一種のギャグ的建築です。
でも結構真面目な内容だったりします。

















ごらんのとおりの有様です。
これはある会社のオフィスビルです。
会社の名前は「不二ラテックス」
・・・つまりそういうことです。





これが何を表わしているか・・・
そんなの僕に言わせないでください・・・
それにしても、この色、この形・・・





コラァッ!!!  おまえはなんてモノを・・・

公衆の面前で

いやしくもここは東京のど真ん中・・・





まじめに見てみますと・・・
パネル貼りのサッパリした質感の外壁に
「近代建築五原則」のひとつである「水平連窓」が・・・

・・・だめだそこにしか目がいかない





いやいや、でも(今度こそ)まじめに考えてみれば
これもポストモダン建築のひとつと言えますね。
明確なモダニズムへの批判と嘲笑というか・・・

つまり、近代以降の建築におけるモダン・ムーヴメントっていうのは
「自己批判を通しての自己純化」といわれるように
余計なものを見つけて批判してはそれをそぎ落としながら
プリミティブなもの排除して、モダニティーを獲得していったわけですね。
で、最終的にあの「白い箱モダニズム」に到達したわけです。
純粋に機能だけに特化した、機能主義の建築です。

でも、建築ってそんな単純なものなんだろうか・・・
建築を使う人間という存在がそんなに単純な機械じゃない以上
建築が単純な機械であってはいけないんではないか・・・
そういう批判が大体1980年代あたりから出てきたんですね。
それがモダニズムの後を継ぐもの「ポスト・モダニズム」です。

このビルは1982年の竣工ですから
ちょうど建築界でポストモダンが盛り上がっていた時期の作品です。
奇しくもこのビルとおなじ1982年には
ニューヨークでポストモダン超高層ビルの代表的存在とされる
フィリップ・ジョンソンの「AT&Tビル」が竣工しています。





そう考えれば、このビルはなかなか深いメッセージ性を持ったビルだと言えます。
このビルにおいて表現されているのは「男性原理」
すなわち理性の対極の存在であるところの動物的欲求です。
モダニズムの自己純化は人間の理性をよりどころにしてきたわけですが
あえてそれをぶち壊す存在、人間のプリミティブな部分を象徴する存在を
この理性的でモダンなビルを貫くように置くことで
(このビル、アソコ以外は機能主義的なモダニズム建築です)
モダニズムに対する勝利を視覚的に、高らかに宣言しているのです。(ホントか?)
人間は理性に制御される機械ではなく
血の通った生命そのものである、ということを
ちょっと過激に表現しているだけなのです。(ホントか!?)

「自称モダニスト」の僕としては・・・
この建築はちょっと好きになれない部分もありますが
それでも、なかなか心打たれるものがありました。
ま、設計した人がそこまで深い意図を込めたのか
それともホントにウケ狙いでこんなのをデザインしたのか
そこはわかりませんが(そもそも設計者が誰だかわかりません)
結果として、この作品は第一級のポストモダン建築と言えると思います。
(僕の深読みのしすぎですかね・・・)

そして何より・・・こんなに目のやり場に困る建築は初めてです。
建築はこんなにも
人を困惑させることができる

ということにムダに感動してしまいました。
だんだん写真撮ってる自分がバカらしくなってきました・・・
(写真を撮る対象が対象だけに・・・相当アブナイですよね・・・)
いや、僕にはそういう趣味はありませんよ〜
僕はあくまでひとつの「建築」として写真を撮ったんですからね!!
そこ誤解しちゃいけませんよ!!

なに? 白い部分がティッシュに見えるって!?
バカなこと言っちゃいけない、そもそもこの会社はそっちじゃなくて(以下禁





ちなみにこのビル
かのモダニズムの名作「パレスサイドビル」のすぐ近くにあるんですね。
(左手前に写りこんでるのがパレスサイドビルです)
この形は、もしかしたらパレスサイドビルに対する
当てつけなのかもしれませんね。
(パレスサイドビルにも同様のモノが・・・)
名作を見たあとはこの「珍作」を見て
建築というものの奥深さを実感されてみてはいかがでしょうか・・・



2008.7.19

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