パレスサイドビル





なんかわざわざホントに2ページ目まで見ていただいて
ありがたい気持ちでいっぱいでございます。
パレスサイドビル共々(?)感謝です。

さて、上の写真はビル本体のガラス窓の写真です。
このビルは南北の側面全体がガラス張りになっています。
壁自体は直接建物の荷重を受け止めない「カーテンウォール」と呼ばれるものです。

カーテンウォ−ルは1920年代にドイツの美術学校「バウハウス」の校長を務めた
建築家 ヴァルター・グロピウスなどのモダニストが用いて以降
「鉄とガラスによる」モダニズム建築の象徴的な表現となりました。

ところでパレスサイドビルのカーテンウォールには
ガラス以外に何やら色々とくっついているのがわかります。





まず水平方向についているのが「ルーバー」
これはビルの窓ふきの時の足場になるとともに
適度な日除けにもなります。
そして垂直方向についているのが「雨どい」
何かトイレが詰まったときに使うでっかい吸盤をひっくり返したような形ですが
(↑例えが悪い・・・)
この雨どいは1階分の高さがひとつの部品で構成されていて
お椀のような部分で上からの雨水を受け止めて下の階に流します。
どちらも素材はアルミ・ダイキャストです。

水平方向のルーバーがビルの中の水平な人の流れを暗示し
さらに垂直方向の雨どいが垂直な雨水の流れを可視化しています。
このビルを取り巻く人間、荷物、そして雨水に至るまでのあらゆる物体の運動は
すべて厳密に区別され、整理され、可視化されているのです。
そろそろこのビルのすごさがわかっていただけましたかね〜
周囲を取り巻くあらゆる物体の運動を支配する存在・・・
それこそがこのパレスサイドビルの真の姿(?)なのです・・・
どうだ、恐ろしいだろう・・・



   

左は「垂直のサーキュレーション」をつかさどる白い円柱の窓
右は「水平のサーキュレーション」をつかさどるビル本体の窓です。
壁の質感、窓の大きさ、水平/垂直のラインの強調など
いずれもちょうどカウンターパートになっています。
明確な分離が美しい調和を生み出しています。



   

さらに!!(いつまで続くんだというあなた、ごめんなさい・・・)
このビルは細部のデザインもなかなかこだわっています。
上の写真は西側のエントランス部分です。
傘のような形をした屋根が特徴的です。
しかも中心の骨組みをよく見てみると
「傘のような」ではなく、傘そのものと同じ構造になっているのがわかります。
機能的で、しかも遊び心あふれたデザインです。





さらにこちら、アーケードにある階段です。
針金が網目のように編まれたユニークなデザインですが
よく見ると、階段本体は上から吊り下げられているわけでもなく
下から柱で支えられているわけでもありません。
左右の網目状の針金がこの階段を斜めに支えているのです。
つまり、人間の「斜めの動き」まで可視化しているのです。
自転車のスポーク車輪に似た発想なんでしょうかね・・・
高度な「数学的お遊び」が駆使されています。
僕はこういうものの構造はサッパリわかりません・・・
ちなみに階段で軽く跳ねると階段が少し揺れます。
バネのように弾力のある階段です。
他の人がいるときは、迷惑になるうえにみっともないのでやめましょう。
(と自分にも言い聞かせる・・・)
人にやさしく、それ以上にビルにやさしく・・・





さぁお待たせしました!!
も〜う僕は何も言いません。
あとはじっくりと、このビルの美しさに酔いしれちゃってください。

























































これだから建築はやめられない・・・



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2008.6.29

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